テックビンディングでありながら、ヒールロック(滑走時)にピンを使わないことが大きな特徴です。 アルペンビンディングと同じようにヒールピースがブーツコバを直接押さえつけロックするという構造になっており、 アルペンビンディングと同じような滑走性能、感覚を得ることが出来ます。通常のピンテックビンディングはヒール部の固定が2本のピンで行われる為、 高速滑走時にヒール部のブレの発生や、ヒール下部のスキーフレックスが損なわれることは否めませんが、キングピンではその心配は不要と言えます。 もちろんテックビンディングの魅力である「超軽量」も同時に実現されています。「俊敏に登行し、ハードに滑りたい!」というスキーヤーにおすすめのビンディングです。 プロスキーヤーの古瀬和哉氏は「どんなに激しいジャンプで着地しても誤解放はしたことがない」とコメントしており、キングピンの信頼性は非常に高いものと言えるでしょう。 今回は2017-18モデルのKING PIN10をレポートします。
※当レポートは当サイトでの使用フィーリングをお伝えするものであり、詳細情報はメーカーホームページや、取り扱い説明書、プロショップ等でご確認ください。
トゥーピースの固定バネが6本というのも大きな特徴です(一般的なテックビンディングは4本)。これもハードな滑走を支える重要な要素と言えます。
ヒールピースがブーツコバをホールドしている様子。ローラー形状となっている部位は確実なホールド力と安全性を高めている様です。
他メーカーのテックビンディングとは異なりモード切替はブーツ下のレバーで行われます。メーカーの紹介ビデオでは、ブーツ装着状態でも切り替えが出来ると訴求していますが容易ではありません。 ブーツを外して切り替える方がベターです。
レバーを切り替えることで、モードの切り替えを行います。レバーは重くなく容易に切り替えが可能です。歩行モードにするとヒールピースが後部に移動し、この移動によってヒールフリーが実現される設計です。
上記の通り、歩行モード選択時にはヒールピースが後方に下がり、ヒールフリーの状況になります(写真ではヒールピースが後部に移動し、ブーツコバが抑えられていない状況になっていることを確認できます)。 以下写真の通り、クライミングエイドも装備。7度、13度の2段階を選択可能です。クライミングエイドはスキーポールのバスケットでも容易に切り替えられるように工夫されています。 またクライミングエイドはチタニウム製であり安心の強度を実現しています。
写真にステップインエイドと言われるガイドがあります(プラスチック製の突起)。ガイドに合わせてブーツのピンテックホールとトゥ固定ピンを合わせます。その後つま先で踏み込むことによりロックされる設計です 他ブランドのテックビンディングに比べてガイドが短い(低く)というのが難点です。 慣れるまでコツがいりますが、一度慣れるとピンが吸い付くようにブーツのホールに入ってくるとの声もあります。 また、ステップイン後はブーツを前後に動かし固定を確認する方がベターです。
トゥピースの固定後は通常のアルペンビンディングと同じように、ヒールを踏み込みロックします。ステップアウトはヒール解放レバーを下げることでも可能ですし、先にフロントピースを解除することでも可能です(フロントのモード切替レバーを下に押すことで解放します)。
予測を裏切らない、まさにアルペンビンディングに近いフィーリングのビンディングです。整地をカービングターンで滑走しても何ら違和感はありません。プレート付きのカービングマシーン用のビンディングほどのパワー伝達力はありませんが、 通常にゲレンデやバックカントリーを滑る上では問題ありません(もともとそういう狙いのものではないとも言えます)。ヒールピンをピンで固定しない分、スキー板のたわみが活きている感覚を感じることが出来ます。深雪で走る滑走をする上ではたわみを活かすことは重要ですのでこの点も非常に魅力です。 また、深雪で転倒しても誤解放することはありませんでしたので(レポートテスト中)、安全性も高いと言えます。プロスキーヤーの古瀬和哉氏も多くのガイドツアーに参加する中で誤解放は起きていないとコメントされています。 軽量設計(KINGPIN10は750g/片方)で登行をサポートしてくれる一方で、「滑りも抜群」という非常に頼もしいビンディングです。
キングピンは歩行モードでブレーキが上がらないということが稀に発生します(雪が詰まっている等の要素により)。基本的にはブーツで強く押し付けることでブレーキが固定される設計になっているようです。 うまく上がらない場合は、写真の様にブレーキを手で抑えながら、モード切り替えレバーをスライドさせると確実に、かつ簡単にロックが可能になります。 シール未装着の段階でブレーキを解除することはスキーが滑落する原因にもなりますので気を付けてください。
※当レポートは当サイトでの使用フィーリングをお伝えするものであり、詳細情報はメーカーホームページや、取り扱い説明書、プロショップ等でご確認ください。