目標とする場所まで通常登行やスキーを駆使して上り、下山時に滑走を楽しむツアリングの為に設計されているスキー板です。 山岳レース用もこれに類されます。登坂時の負担を最小化する為に超軽量設計となっております。 また、サイドカーブやセンター幅は通常スキーに近いものが多く、中にはソールがステップソール(鱗板)になっており、シールなしで登坂が可能な製品もあります。 超軽量設計であることより、スキーの操作には技量が求められるものが多いです。
(例)G3 FINDr86
サイズ:162/167/172/177182cm
サイドカット:122/86/109mm(172cm)
回転半径:15.2/16.2/17.1/18.2/19.2m
重量:1,250g(172cm)
フリーライドスキーは大きく分けてハーフパイプ・ワンメイク等のトリック系、パウダー(深雪)系の2つのタイプに分かれます。 自然の地形・雪質を縦横無尽に滑って楽しむ事を最大の目的としたスタイルがパウダー系のフリーライドと言えます。 当サイトではパウダー系を中心に紹介します。パウダーでの滑走には高い浮遊性が重要であり、スキー板の幅が広いファットスキーと呼ばれるものが一般的になっています。
(例)サロモン QST118
サイズ:171/178/185/192cm
サイドカット:142/118/129(185cm)
回転半径:22/24/26/27m
重量:1760g(171cm)
板の選択の中で浮力などを目安にしているのはスキーセンターの幅です。センター幅が90mm-100mm、もしくはそれ以上になるといわゆるファットスキーと言われる部類に入り、普通のスキー板に比べて浮力が大きく増します。 120-30mmになると急斜面の新雪を高速で滑るビッグマウンテンスキーヤー用と言えます。 浮力の高い板を用いれば、深雪で大きなターンをする際にもその浮力が助けとなり安定性と余裕を実現します。 板の幅が広くなればハイクアップ時の際の負担も大きくなる為(重量増やシールの抵抗増大の為)、 その点も考慮に入れなければいけません。スキー場上部よりハイクアップし、バックカントリーを攻めるスキーヤーであれば、100mm前後のものがお薦めと言われています。 またセンター幅が広くなれば一般的にグルーミングバーン(圧雪されたゲレンデ)でのカービングターンがしにくくなる傾向があります。以下に参考までにスキーヤーのタイプ別にお薦めサイズをまとめます。
一般ゲレンデをメインにパウダーも楽しみたい
「一般ゲレンデでカービングターンも楽しみたい。でも、コース脇の新雪などでパウダーも楽しんでみたい」という方にお薦めのサイズです。 バックカントリー向けスキー板でもツアー用は軽量性と高い機動性を実現する為にこの程度の幅のものが多いです。
※長さに関して:小回り~大回り、パウダーとオールラウンドに扱うには身長と同じくらいか、-5-10cm程度がお薦めです。
(例)フォルクル カンジョー
サイズ:161/168/175/cm
サイドカット:123/84/104mm(168cm)
回転半径:17.6m(168cm)
重量:n.a.
パウダーメインだけどゲレンデも十分に楽しみたい
「メインはバックカントリーやサイドカントリー。でも一般のゲレンデもそれなりに滑りたい」という方におすすめのサイズです。 「これからバックカントリーを始める」という方にはバックカントリーの様々な環境に対応しやすいのでこのサイズがお薦めと言えます。 95-100mm程度が機動性が高く扱いやすいと言われています(幅が広くなれば登行でのパワーも必要になります)。
※長さに関して:深雪での浮力を確保しながらも、一般ゲレンデでの取り回しを考えると身長+10cmくらいまでがお薦めです。
(例)サロモンQST106
サイズ:156/163/170/177cm
サイドカット:140/106/126mm(181cm)
回転半径:20m(181cm)
重量:1,900g(cm)
基本はパウダー、ゲレンデはほとんど滑らない
「深雪のパウダー滑走をメインに考えている、一般ゲレンデでの滑りやすさは考慮しない」という方にお薦めのサイズです。 バックカントリーの中でもパウダーを高速で滑走したい、高い浮力を楽しみたいという方が選ぶ傾向があります。バックカントリーの中でも自由自在に操るにはそれなりの技術と体力を必要とするクラス帯と言えるでしょう。
※長さに関して:深雪での浮力を最優先で、スキーの取り回しにも自信のある方には185cm以上がお薦めです。
一般ゲレンデでのスキーであれば好みやスタイルで異なりますが身長程度、もしくはプラスマイナス10cm程度が一般的です。 BCでは深雪での浮力が重要になります。基本的に長ければ長いほど浮力が増すとは言えますが、板の取り回しが難しくなる、 重量が重くなるというマイナス点もあります。上記のお薦めスキーセンター幅にそれぞれに応じた長さの目安も記載しておりますのでご参考ください。
回転半径(ターンラディウスとも言われる)はRで表されます。基礎スキー等で使用されるカービングスキーではショートターンモデルで10-15m、 ロングターン用で20m程度が一般的です。バックカントリー用スキー(特にフリーライド、ビッグマウンテン用)の回転半径は20m以上のものが多いと言えます。 より浮力のある物は回転半径も大きめになる傾向があります。一方でスキーセンターが細めで、ターンラディウスの小さいものは、パウダーでの浮力も少なくなります。
キャンバー、ロッカーとは板に意図的につけられたたわみの事です。静止状態で置いておくとスキーの板の多くはかまぼこ上に反っています。 これがキャンバーです。ロッカーとははキャンバー同様に元々つけられたチップの大きな反りなのですが、このロッカーの仕組みは近年のスキー業界ではトレンドとなっています。 以下にそれぞれの特徴に関して説明します。
通常のスキーはキャンバースキーといって平らな所に置くとセンター部が地面から少し浮く形状になっています。 それにより効率的にノーズやテールを雪面に押し付ける事が出来、高い板のレスポンスを得ることができます。
ロッカースキーは、キャンバースキーのようにセンター部の浮きがなく、トップとテールが反っていてる形状です。 接雪面が少ないので短いスキー板を履いた時のように扱い易く、新雪や悪雪でも板が浮いて滑り易い特徴があります。 ターン前半ではスキー板がずらし易く、先落としががし易い為ターンに入りやすく、ターン後半でもスキー板を滑らかにずらすことができます。 それらの効果は深雪・未圧雪を滑るバックカントリーに適合すると言えます。一方でロッカー形状がフルロッカーに近づけば近づくほどエッジ接地面が小さくなり、 通常のゲレンデはターンがずれやすくなるので注意が必要です。
各メーカーともスキー板のカテゴリーや求める性能に応じて、キャンバーとロッカーを交えたものから、フルロッカーのものまで柔軟に選択しています。 キャンバーをベースにトップのみロッカーとしている板等がその例です。それらのイメージを図にまとめてありますのでご参考ください。 スキー板はサイドカーブ、キャンバー/ロッカー、素材等々多くの要素の組み合わせによりその特性が決まるため、仕様だけではその板の特性を見分けにくいというのが現実です。 主な組み合わせを図解します。