バックカントリースキーで登行の際に必要となるアイテムが「クライミングスキン」です。「シール」とも呼ばれています。 シール表面には微細な毛が植えてありますが、これは「板を前には進むが、後ろには進まないようにする」為で、登行時の滑り止めの役目を果たします。 毛が植えられていない逆側はスキー滑走面への接着面となっています。
シールは主にナイロンとモヘアの2種類の素材で作られています(滑り止め側)。以下それぞれの特徴を説明します。自分のスタイルとレベルに合わせた選択が重要になります。一般的にバックカントリースキー入門者には確実にグリップするナイロンがお薦めです。
モヘア100%
モヘア100%
モヘア:70% ナイロン:30%
シールの幅はスキートップサイズ(最も幅の広い部分)に対してプラス10mm〜マイナス15mmが目安と言われています。そしてその選択されたシールをスキーの形状に合わせてトリミングします。ATOMICベンチュラ―120とG3 ALPINIST+UNIVERSALの組み合わせを例として見てみましょう。板のトップ幅が142mmであり上記目安に基づくと127mm~152mmのクライミングスキンが選択可能範囲となります。 以下G3製品からは130mmもしくは145mmが適合となります。145mmではスキー板幅をカバーしますが、130mmではトップ部で左右7㎜程度狭くなります。 どちらを選ぶかはスキーヤーのスタイルや好みによりますが、一般的に前者はグリップ力が高くなり、後者はスライド性が高くなると言えます。細すぎるシールはグリップ不足やトラバース時のスリップの原因にもなりますので注意が必要です。
サイズ(cm) | サイドカット(mm) | 回転半径(m) | 重量(g) |
---|---|---|---|
176 | 142-120-133 | 18.0 | - |
184 | 142-120-134 | 19.0 | 1,740 |
192 | 142-120-135 | 20.0 | - |
サイズ(cm) | シール幅(cm) | |||
---|---|---|---|---|
XS(150-165) | 100 | 115 | 130 | 145 |
S(161-177) | 100 | 115 | 130 | 145 |
M(172-188) | 100 | 115 | 130 | 145 |
L(183-199) | 100 | 115 | 130 | 145 |
上記と同じ例を挙げて説明します。板が176cmの場合(S)161–177cmもしくは(M)172-188cmの2種類が適合サイズとなります。Mを選択すればシール部の有効面積が高まる為、グリップ力が高くなると言えます(Sに対して)。Sにすればシールの有効面積が短い分スライド性が高まると言えます(Mに対して)。長さに関してもシール幅と同じくスキーヤーのスタイルや好みに応じて選択の幅があるということになります。
シール先端はループ状の金具(ティップループ)が付けられておりスキートップに固定できるようになっています。
テール側はストラップで固定する「テールフィックス方式」と「貼り流し方式」の2種類があります。「テールフィックス方式」はシールにテンションをかけることで接着を補助してくれるので安心感が高いです。張り流し方式はテールにストラップがなく、そのまま貼るだけのものですが、シールの扱いに慣れているBC上級者向けと言えるでしょう。
テール形状ががツインチップスキーの様に丸い場合はG3 ツインチップコネクターキットなどを使って固定することお勧めします(通常のストラップでは外れる場合がある)。また、テールの立ち上がりが大きいスキー板はテール固定システムとの相性によってはクライミングスキンの性能を十分に発揮することができませんので、注意が必要です。
シールの粘着方法にはグルータイプとアクリル/シリコンベースタイプの2種類があります。現在の主流はグルータイプで、名前の通り粘着面に糊が塗られています。このタイプのメリットは接着力が高く、正しい保管をすれば長く使えることです(保管方法が悪いと糊がベタベタになり使用できない状態になります)。アクリル/シリコンベースはここ数年増えてきている方式で、接着力はグルータイプ程強くありませんが、扱いやすい(粘着面同氏を貼り合わせて携行できる等)、グルーに比べて劣化しにくい等のメリットがあります。一方で塗替え、塗足しが出来ないというデメリットもあります。